犬ヶ岳(ウグイス谷コース〜恐ケ淵コース)


福岡県豊前市の南西部にある犬ヶ岳(1130.8m)は、国の天然記念物である「ツクシシャクナゲ」の自生地として有名であり、福岡・大分県境の山で東西に連なる県境山塊の一つの峰である。

英彦山の東に、野峠を挟んで一ノ岳、二ノ岳、三の岳、笈吊峠(笈吊岩)と続く稜線の一帯を総称して「犬ヶ岳」と呼ぶこともあるが、一般的には最高点の甕の尾(カメノオ:三の岳)を犬ヶ岳と呼んでいるようだ。(登山ルート参照)

一ノ岳から北に派生した尾根上に求菩堤山(くぼてさん:782m)がある。古来、山岳宗教の修験道が盛んだったようで、犬ヶ岳も求菩堤山の修験者たちが修行で回峰した歴史の山であると云う。
また、犬神が住んでいたという伝説もあり、仏法守護の修験山伏の史跡と伝説が多いと云われる。山岳仏教の求菩堤資料館がある所以でもある。

アプローチ:大分自動車道「鳥栖Jct」→「日田IC」→耶馬溪方面R212→吉富・本耶馬渓線R16→唐原R10→豊前市「千束:チヅカ」交差点左折R32→求菩提資料館→鳥井畑登山口(トイレ付き広い駐車場)

期日:2006年4月29日(土)  紹介先: 0979-82-1111

              山岳概念図     


登山前日
2006年4月28日(金)15:10

熊本市内より3時間、170km程走り豊前市の天狗の湯で疲れを癒し旅館へ向かう。


宿泊先は、
割烹旅館 宇島(うのしま)汐湯

岩岳川」上空に泳ぐ鯉のぼり

左奥が犬ヶ岳(1130.8m)
右側は求菩提山(782m)




4月29日(土)

07:00

朝食を済ませ、旅館を出発。
R10の千束(チヅカ)交差点からR32を一路鳥井畑登山口へ。

07:30

駐車場(登山口)到着

祭日でもあり、既に10台が駐車している。


08:00

登山口を出発。V字型に分かれた登山道を左にとってシャクナゲ観賞ルートである「うぐいす谷コース」をとる。



  
  右手のウグイス谷に沿って林道を辿る。

08:22

木橋を渡る。


笈吊峠(おいずるとうげ)まで1.86kmとある。



  要所に道標があり、道に迷うことはない。

08:38

杉林の急登。

08:49

ロープを頼りに登ると、視界が開けて「求菩提山」が見える。



09:02

ジグザグのきつい登りを経てようやく「経読林道:きょうよみりんどう」に辿り着き、右にとる。

  

  林道の岩壁に咲いていたミツバツツジ

09:16

林道を右へ60m程行くと左手に案内板やテーブルがある。

一息ついて笈吊峠へ向かう。
笈吊峠まで460mとある。

09:25

大小の石の多い厳しい登りが続く。
シオジ・カエデ・ミズナラなどが点在し、新緑が目映い。


     シオジの新緑

09:41

涸れ沢を渡り、疎林を抜けるとようやく尾根に出た。

木製のベンチとテーブルが用意されている笈吊峠だ。一休み。

左へ2.8kmで経読岳
右へ1.1kmで犬ヶ岳

左手に耶馬溪への案内板を見て、北(右)に行く。
最大の難所”笈吊岩”はもうすぐだ。

(修験者たちが背負っていた笈を肩から外し、吊して登り降りした難所)

笈(おい)=背に負う経文などを入れる箱。

09:52
高さ30m程ある絶壁に近い岩場。
左右に二本の鎖がある笈吊岩だ。
ザックを置いて行くわけにはいかず、鎖を頼りに慎重に登る。滑落したらと思うと身震いする。

10:02

笈吊岩を登り詰めたところで見返ると、経読岳(992m)が見える。

10:03
先に進むと、シャクナゲの群生地が続く。しかし開花を待つ蕾しか見せてくれない。当たり年であるようだが、時期が早かった!!

この後三つのピークを越えるアップダウンが山頂直下まで続く。


花は「シャクナゲ」だけではないぞとばかりに「ツルシキミ」や「ムシカリ」が顔を見せる。




10:20

歓声に誘われて急いで行った所に数人の登山者が思い思いにシャッターをきっていた。

紅紫色の「ツクシシャクナゲ」
不思議なことに後にも先にもここだけの数本にだけしか咲いていなかった。


10:36

その後は、アップダウンを繰り返し、花のないシャクナゲのトンネルをくぐり抜けると、ブナやカエデの林が続く。

前方には、山頂直下の急登が立ちはだかっている。

最後の急登を登り切ると、山頂だ。

10:49 
「甕ノ尾:かめのお」とも呼ばれる「犬ヶ岳:1130.8m」山頂。(要:約2時間50分)

案内板に次のように記されている。

「犬ヶ岳という名称は、山頂に鬼神の霊を祀ったことから、その鬼神の霊を威奴・異奴(イヌ)と呼びました。そして狗ヶ岳、犬ヶ岳とかわってきました。
シャクナゲの花は、神霊にささげた神の花とされています」



避難小屋を兼ねた展望台で一息つく。

周囲の木々が伸びて、豊前海と求菩提山の山頂がようやく見える程度。

時期が早くて登山者は少ない。

11:24

大竿峠に向かう道中は、足下にクマザサ、周囲にはミズナラやコハウチワカエデの多い清々しい自然森だ。


11:34

犬ヶ岳山頂から30分程でベンチのある「大竿峠(おおさおとうげ)」に到着。

下山は、ここから右に下って「恐ケ淵(おそろしがぶち)コース」経由であるが、折角だから直進して「一の岳」まで行く。

リョウブ、ミズナラ、エゴノキなどの自然林に恵まれている。

11:37

きつい木製の急階段。

11:50

「一の岳(笹の宿):1124m」に到着。


     
    信仰の山らしい言語が多い。

野峠(のとうげ)方面に「英彦山」を見る。



「求菩提山」へも行きたいが脚力が乏しい。昼食をとって休憩。

12:20
再び「大竿峠」へ向かう。
12:32

「大竿峠」に到着。

この分岐点は、「一の岳」・「野峠」へ向かう人や、「恐ケ淵」(おそろしがぶち)へ下る人たちの休憩地でもある。

往路はウグイス谷コース。復路は恐ケ淵(おそろしがぶち)コースとなる。

12:41

大竿峠を出発。しばらく下りが続く。
ブナ・イロハモミジ・アブラチャンを見る。

12:55

経読林道に出て右へ4〜5分辿ると案内板ある。左手の杉林を下る。




杉林の中にリョウブもちらほら見える下りが続く。

13:11

鈴ノ中尾の道標を見て、右手の沢を鎖を頼りに用心深く渡る。

13:15

「夫婦淵」
登山口まであと2.5kmとある。

左手は深い渓谷。更に下りが続く。


13:35

恐ケ淵と呼ばれる所の上部にある渓谷。

鎖がかすかに写っているが、この鎖を頼って渡る”覚悟の” 恐ろしい淵であった。

この後、小さな雨粒が落ちてきたが長続きはしない。

13:44

恐ケ淵の手前にあった木橋を渡る。
登山口まで2kmとある。

要所にこのように親切な道標があり有り難い。

13:48

名所!恐淵

あと1.75kmだ。

イロハカエデ・コハウチワカエデ・ヤブツバキ・クマノミズキ等の自然林を下る。

時折、落石注意や滑落事故多しの標識もある。

この辺りに来て、流石に疲れも蓄積してきた。

小粒の雨もやみ陽が差して新緑が美しい。

14:07

左下の沢を見ながら見事な杉林を下っていくと傾斜も緩んでくる。

広い河原に出てゆっくり休憩して、沢を渡ると、簡易舗装された林道に出る。

(腰に相当な疲れを感じる。温泉が待ち遠しい!!)

14:37

二軒のヤマメ料理店の間に出て岩岳川の橋を渡れば、登山口の駐車場に戻り着く。



  料理店の裏庭には見事なシャクナゲ。
14:40
下山終了。(往復:6時間40分)

鎖を使ってよじ登る笈吊岩、新緑の自然林、シャクナゲなど変化に富んだ山歩きを満喫できた。
機会があれば、紅葉の頃や霧氷の冬期にも楽しみたいものだ。

14:58
32号線沿いに流れている岩岳川の上空に泳ぐ鯉のぼり。

15:00
求菩提山温泉卜仙の郷に立ち寄り腰の痛みを癒す。

16:30
往路をとって家路につく。

            

         
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